根管治療(神経の治療)
「ズキズキと歯が痛む」
「歯ぐきが腫れて、膿が出てきた」
「他院で治療したが、また痛みが再発した」
「抜歯しかない、と診断されてしまった」
根管治療には、「痛い」「何度も通う必要がある」といったイメージがつきものです。その不安から、つい治療を後回しにしてしまう方も少なくありません。
当院では、患者様の身体的・精神的なご負担を最小限に抑えるため、痛みに最大限配慮することはもちろん、「再発させない、精度の高い治療」を何よりも大切にしています。
保険でも、妥協しない。みわ歯科の「当たり前」は、他院の「特別」です。
根管治療の費用について調べる中で、「精密な治療は自費診療になります」という説明を多くご覧になったかもしれません。
しかし、船橋駅の歯医者「みわ歯科クリニック船橋」の考えは、違います。
当院では、根管治療の成功率を極限まで高めるために不可欠とされる、以下の4つの要素を「保険診療の標準仕様」としています。
■歯科用CTによる三次元診断
■マイクロスコープを用いた精密治療
■ラバーダム防湿による無菌的環境の確保
■ニッケルチタンファイルによる精密な清掃
当院の「当たり前」を支える4つのこだわり
なぜ上記の4つが、歯を残すためにそれほど重要なのでしょうか。一つずつご説明します。
こだわり①:歯科用CTによる三次元診断
従来のレントゲンは二次元(平面的)なため、歯の根が重なって見えたり、病巣の正確な大きさが分からなかったりする限界がありました。歯科用CTは、歯や顎の骨を三次元(立体的)に撮影できるため、根管の数、複雑な走行、病巣の正確な広がりまで、手に取るように把握できます。これにより、治療前に正確な診断と治療計画を立てることが可能になります。
こだわり②:マイクロスコープを用いた精密治療
歯の根の中は、暗く、肉眼では見えないほど狭く複雑です。経験と勘に頼る手探りの治療では、感染源の見逃しが再発の大きな原因となります。マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、視野を最大20倍まで拡大し、明るく照らし出すことで、「目で見て行う確実な治療」を可能にします。感染源の見逃しを防ぎ、健康な歯を削りすぎるリスクも最小限に抑えます。
歯こだわり③:ラバーダム防湿による無菌的環境の確保
治療中に、唾液に含まれる細菌が根管内へ侵入してしまうと、それが再感染の原因となります。ラバーダムとは、治療する歯だけを隔離するゴムのマスクのようなものです。これを使用することで、唾液の侵入を完全に防ぎ、無菌的な環境で治療を行うことができます。再発を防ぐための基本中の基本であり、欧米では常識とされている処置です。
日本での使用率は2003年から2010年にかけて上がってはいるものの、14%程度です。つまり、10医院のうち1〜2医院しか、ラバーダムは行なっていないとの調査結果が出ています。
2003年から2010年にかけての調査
歯内療法学会会員: 25.4% → 51.5%
歯内療法学会専門医/指導医: (データなし) → 60.0%
歯内療法学会非会員: 5.4% → 14.1%
引用:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeajournal/42/3/42_166/_pdf/-char/ja
こだわり④:ニッケルチタンファイルによる精密な清掃
歯の根管は、まっすぐではなく、多くの場合、複雑に湾曲しています。従来の硬いステンレス製の器具では、湾曲した根の先端まで器具が届かず、感染源を取り残す原因となっていました。ニッケルチタンファイルは、チタン合金でできた非常にしなやかな器具で、複雑な根管の隅々にまで追従し、壁に付着した感染組織を徹底的に除去することが可能です。
当院の治療方針と注意事項
当院では、すべての患者様に誠実に向き合い、質の高い医療を提供するため、以下の方針を定めております。何卒ご理解いただけますようお願い申し上げます。
方針①:現在の治療について
当院は院長である私(三輪 恭啓)の「一人でも多くの歯を、安易に抜くことなくできるだけ残したい」という強い想いから、CTやマイクロスコープ等を用いた精密な根管治療を、現在、保険診療の範囲内で提供しております。
方針②:治療の完結について
精密な根管治療を行っても、その後の被せ物(補綴物)の精度が低ければ、隙間から細菌が侵入し、再発の原因となってしまいます。根管治療は、精密なセラミックスの被せ物をに装着して初めて完了となります。
そのため、大変申し訳ございませんが、当院で保険でも精度の高い根管治療のみを受け、被せ物は他院で、というご要望はお受けしておりません。
方針③:将来的な費用について
この『保険診療でも、できる限りの治療を提供する』という方針は可能な限り続けたいと考えておりますが、最新医療機器の維持費や国の制度変更などにより、将来的にこれらの精密治療が自費診療へ移行する可能性がございます。
その場合の治療費は、参考までに以下の価格を予定しております。
- 前歯(1〜3番): 88,000円(税込)予定
- 小臼歯(4・5番):110,000円(税込)予定
- 大臼歯(6・7番):132,000円(税込)予定
現在の保険診療がいかに価値のあるものか、ご賢察いただけますと幸いです。
もちろん、一度根管治療計画にご同意いただき開始した場合、突然自費に変わることはありませんので、ご安心ください。
当院の根管治療の選び方:まずは「超精密・保険治療」から
当院では、まず全ての患者様に、この「他院の自費レベルの精密治療」を保険診療でご提供することを基本としています。
ほとんどの症例において、この治療で可能な限り良い結果が得られると確信しています。
その上で、より確実に歯を残し、再発のリスクを最小限に抑えるため、特定の条件下にある患者様にのみ、最後の仕上げの材料をバイオセラミック材料「MTAセメント」を使用する自費診療をご提案しています。
あなたは当てはまる?当院がMTAセメントを推奨する3つのケース
以下のどれか一つにでも当てはまる場合、歯の未来を守るために、当院はMTAセメントを用いた根管充填(自費診療)を強く推奨します。それは、通常の材料では「治癒」に導くのが極めて難しい、治療難易度の高い状態だからです。
Case 1:根管内が細菌に感染してしまっている歯(感染根管治療)
すでに歯の神経が死んでしまい、根管の内部が細菌の巣窟となっている状態です。レントゲンでは、根の先に黒い影(根尖病変)として映ります。治療の成功には、感染源の徹底的な除去と、再感染を防ぐ強力な封鎖が不可欠なため、MTAセメントが最も効果を発揮します。
Case 2:過去に治療した歯の「再治療」
一度治療した歯が再び痛みだしたり、歯茎が腫れたりしている状態です。再治療は、根管内の状況が複雑化しており、治療に抵抗性を持つ細菌が繁殖しているため、根管治療の中で最も難しいとされています。マイクロスコープで丁寧に以前治療した材料を除去を確認し、MTAセメントの強力な殺菌力と封鎖性で、この治療の成功に期待します。
Case 3:根の先端が破壊されている歯
感染が長期間続いた結果、歯の根の先端部分が溶けて破壊され、ラッパ状に開いてしまっている状態です。通常の材料(ガッタパーチャ)では、この開いた穴を隙間なく封鎖することが物理的に不可能であり、再発は免れません。このようなケースこそ、MTAセメントが持つ「歯の組織の再生を促す力(硬組織誘導能)」が真価を発揮し、抜歯から歯を救う一つの希望となります。
Case 4:大きな根尖病巣がある歯
根の先の骨が、細菌によって大きく溶かされてしまっている状態です。病巣が大きいということは、それだけ感染が重度であること、そして治癒のために骨の再生を強力に後押しする必要があることを意味します。MTAセメントが持つ優れた封鎖性と、骨の再生を促す力は、このような重度のケースで、抜歯から歯を救うための非常に強力な武器となります。
以下MTAセメントの治療によって治癒した症例
当院では、根管治療の成功を以下に定義しています
① 学術的基準に基づく「成功」の判断
一定の経過観察期間の後、世界的なガイドラインで用いられる以下の基準を組み合わせて、客観的に治療の成否を判断します。(参照: Friedman & Mor 2004, Ørstavik & Pitt Ford 2007など)治療後の歯の状態は、大きく分けて3つに分類されます。
1.「治癒した (Healed)」
臨床的に: 痛みや腫れ、膿の出口などの症状が一切なく、完全に機能している状態。
レントゲン的に: 根の先にあった病気の影(根尖病変)が完全に消失、または骨の構造が正常に近い状態まで再生している。(PAIスコア 1または2に相当)
→ この状態を確認して、初めて最終的な被せ物(補綴物)の作製へと進みます。
2.「治癒傾向にある (Healing)」
臨床的に: 症状はないが、レントゲン的に病気の影がまだ残っている(ただし、治療前より明らかに縮小している)状態。
→ 臨床症状がない場合は治療成功と判断し、最終補綴物を作成、セットしたあと経過観察を続ける場合もあります。
3.「失敗 (Diseased / Failure)」
臨床的に: 痛みなどの症状がある、または、レントゲン的に病気の影が改善しない、もしくは悪化している状態。
→ この場合は、次の「③ 万が一、『失敗』と判断された場合の選択肢」をご提案します。
③ 万が一、「失敗」と判断された場合の選択肢
残念ながら「失敗」と判断された場合でも、すぐに抜歯となるわけではありません。歯を残すために、以下の治療法を検討します。
1、再根管治療(専門医への紹介を含む):再度、根管治療を行う方法です。しかし、同じ術者が同じ方法で治療を行っても、同様の結果になる可能性があります。そのため、より専門性の高い治療が必要と判断した場合は、大学病院や根管治療専門医へ責任を持ってご紹介させていただきます。 もちろん、患者様が希望され、当院での再治療に可能性があると判断した場合は、引き続き当院で対応することも可能です。
2、歯根端切除術(外科的歯内療法): 歯ぐき側から外科的にアプローチし、感染の温床となっている根の先端部分と、周囲の病巣を直接除去する方法です。根管治療だけでは治癒が難しい場合に有効です。
3、意図的再植術: 一度、慎重に歯を抜歯し、お口の外で根の先端の悪い部分を切除・清掃・封鎖してから、元の場所に戻す方法です。歯根端切除術が難しい位置にある奥歯などで行われることがあります。
これらの治療法を駆使しても、残念ながら歯の保存が不可能と判断された場合に、最終的な選択肢として「抜歯」をご提案します。当院では、最後の最後まで、あなたの歯を残すためのあらゆる可能性を追求します。
治療の成否を分ける「最後の仕上げ」- なぜ精度の高い被せ物が必要なのか?
どれだけ精密な根管治療(歯の根の土台工事)を行っても、最後の被せ物(建物工事)の精度が低ければ、その努力は水泡に帰してしまいます。
ある有名な研究では、根管治療の質と、その後の被せ物の質の組み合わせによって、歯の長期的な予後が大きく変わることが明確に示されています。
- ◎ 良い根管治療 + 良い被せ物 → 成功率 91.4%
- △ 良い根管治療 + 悪い被せ物 → 成功率 44.1%
- × 悪い根管治療 + 良い被せ物 → 成功率 18.1% (データ引用元: Ray & Trope 1995)
このデータが示す最も重要なことは、たとえ完璧な根管治療を行っても、被せ物が悪ければ成功率は半分以下に激減してしまうという事実です。被せ物と歯の間にできた僅かな隙間から細菌が侵入し、再び根の中で繁殖してしまうのです(コロナルリーケージと言われます)。
当院が、保険の根管治療であっても精度を追求しているのは、この事実を知っているからです。そして、その精密な治療を無駄にしないために、被せ物にも同等の精度を求めたいと考えています。
精密な根管治療という「土台」を築いた後は、きちんとした「建物」を建てて、あなたの歯を生涯にわたって守り抜くことが重要です。当院では、そのためのセラミック修復を強く推奨しています。
保険の治療が選択肢となるケース
もちろん、すべての方に自費のセラミック修復が必須というわけではありません。患者様のご状況によっては、保険適用の治療も選択肢となり得ます。
【歯の状態による選択】
根管治療後も、歯を囲む4方向の壁(歯質)がすべて残っている場合、歯を大きく削る必要がないことがあります。このようなケースでは、保険の白い詰め物(コンポジットレジン/CR)で対応できる場合があります。
より精度の高い治療をご希望の場合は、自費診療のダイレクトボンディングが優れた選択肢となります。
Survival Rates from Fracture of Endodontically Treated Premolars Restored with Full-coverage Crowns or Direct Resin Composite Restorations: A Retrospective Study
Warattama Suksaphar 1, Danuchit Banomyong 2, Titalee Jirathanyanatt 1, Yaowaluk Ngoenwiwatkul 3
【患者様のご事情による選択】

このような状況を総合的に判断し、患者様とご相談の上で、根管治療後に保険の被せ物・詰め物を選択することもあります。
最終的にどの治療法を選択するかは、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明し、患者様の価値観やご希望を最大限尊重した上で決定します。どのようなことでも、遠慮なくお話しください。
結論:私の考えられる最大限のプロセスと、生体の治癒力を上げる材料で、あなたの歯を守り抜きます
当院の治療方針はシンプルです。
- 1、まず、保険診療の範囲内で、考えうる最大限の「治療プロセス(根管治療)」をご提案します。
- 2、歯が厳しい状況下にあれば、「封鎖材料(MTAセメント)」をご提案します。
- 3、そして、治療の最終仕上げとして、歯を長期的に守るための最高の「被せ物(セラミック修復)」を推奨し、患者様にとって最善の選択を一緒に考えます。
痛くない治療、そして説明。船橋駅の歯医者として、私たちは患者様との信頼関係を第一に考えています。根管治療に関するお悩みや疑問があれば、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。